「デンマークに学ぶ Learning by doing カオスパイロットと生産学校の現場から」

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12/29、「デンマークに学ぶ Learning by doing カオスパイロットと生産学校の現場から」という講演会を聞きに行きました。

デンマークのビジネスデザインスクール「KAOSPILOT」への日本人初の留学生である大本綾さんと、早稲田比較教育学博士の佐藤 裕紀さんから、デンマークのユニークな教育システムとデンマークらしい教育を実践する「KAOSPILOT」での学びについてのお話を聞きました。大本綾さんはダイアモンド社の情報サイトで「幸福大国デンマークのデザイン思考」という記事を書かれています。

「KAOSPILOT」のカリキュラムは、ケーススタディーを学んだりはせず、2ヶ月間かけてビジネスモデルを学び、それを使って、実際にクライアントを持ってプロジェクトを進めて行くという実践的なもの。まさに「Learning by doing」。デザイン思考を扱う学校は他にも色々ありますが、実践をする割合が圧倒的に多いのが「KAOSPILOT」なのだそうです。実践と集合知の使い方に重きをおく「KAOSPILOT」の教育のなかで、印象的だったエピソードをいくつか。

自分の価値観を語るのにメタファーを使う
自分の価値観を語るときに、メタファーを使うことで、 自分ごとから少し離れて話やすくります。例えば自分が30カ国を旅したときに、ずっと履いていた靴をメタファーにして、自分の価値観を語り始めるなど。日本人は特に自分の価値観を語るのが苦手な人が多いけれど、こういうモノを通してきっかけを作ることで、語り始めやすくなります。自分の価値観を自分のキャリアの枠組みで話してしまうと、価値を限定してしまうので、自分の経験から得た感情的な部分で価値観を語ります。

Six Thinking Hat
考えの側面を6つに分けることにより、物事のあらゆる面を考えていこうとするものです。考えの側面は「思考のコントロール」、「情報」、「感情」、「アイデア」、「良い点」、「悪い点」の6つの”思考タイプ”に分かれています。このツールを使うことで、その場にいる権力のある立場の人、などの意見もフラットに思考することができます。

エナジャイザー
長時間ブレストをしていると、メンバーの思考が冴えなくなってくることがあります。そんなとき、「エナジャイザーをしよう」と誰かが言い始め、全員が外に出てリフレッシュをします。それをメンバー全員で共通言語として持っていることで、全体のモチベーションを良い状態に保つことができます。

mindness
人の話を頭を空っぽにして聞くことを学びます。これは日本人はもともと得意なことですが、欧米ではこれを意識してやるようです。あらゆる価値観の人の意見を、mindnessの状態で聞きそれをうまく1つのものにまとめあげてナビゲートしていくことも1つのリーダーシップと考えます。

U理論の体感
U理論を使った自分の成功パターンを体感するためのエクササイズがあります。まず自分がテーマとする質問を考えます。例えば「常にクリエイティブにあるには?」など。その質問に対して「アーチェリーをする」「絵を描く」「歌を歌う」ということを通して考えていきます。「絵を描く」を選んだ人は、2人でペアになって、その人の雰囲気を描いていきます。その次に、「左手で描いてください」と指示があります。利き手ではないほうの手で描くことで、今まで「うまく描こう」としていた自分のエゴに気づきます。そこで今まで自分が観察したり得たことを一度手放すことで、質問の本質をつかむことができる、というものです。

エピソードを聞いて、デンマークの教育は社会と密接に結びついていて、個人のアイデンティティをチームを通して発揮し、社会にどんな価値を提供できるのかということを実践を通して学んでいくものだということが、感じ取れました。

最近、色んな教育機関は詰まるところ良質なコミュニティーで、そのコミュニティーの品質に対して人はお金を払うのかもしれないと思うようになりました。知識を教えてもらうための授業料にお金を払うという感覚は、あまり今重要でないのかなという。そのコミュニティーには、実践をナビゲートする人がいて、そこに集まった人達がお互いに行動を誘発し合うようにナビゲートする。多大な知識を持つ人よりも、多くの経験をもとにして人をナビゲートしていける人が、リーダーシップを持って行くのだろうな、というようなことを感じた会でした。