世界ビレッジデザイン会議@山口県阿東市

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2016/08/05〜07にかけて、YCAMが企画する世界ビレッジデザイン会議に参加しました。

世界ビレッジデザイン会議は、インドネシアのカンダンガン村のデザイナーのシンギー・カルトノさんが2年に1度主催している村おこし会議。第1回はシンギーさんの出身地であるインドネシアのカンダンガン村で行われ、今回は日本の山口県阿東市で行われました。シンギーさんは、2012年、ソーシャルデザイン活動である「Spedagi」をスタート。経済活動と人材が大都市に集中する一方で衰退してゆく村の状況に危機感を感じ、その解決策を探るため2014年から2年に1度、この会議を開催しています。

Spedagi ATO Project

インドネシア語で「朝自転車に乗る」ことを意味する「Spedagi」。このプロジェクトは、カンダンガン村の荒廃してしまった竹林の竹を使用してバンブーバイクを作り、バイクに乗りながらフィールドワークをして村の抱える課題を深め、解決策を探っていくという活動。村の理解を深めてもらうことが目的なので、バンブーバイクは輸出したり、他の大きな都市でワークショップをすることはせず、参加者は村に来てバンブーバイクを作ります。そして今回「Spedagi」プロジェクトを山口県阿東市でも展開しようということで、YCAM、阿東文庫、株式会社オープンハウスmi-ri meterなどが集結し、今回の阿東市での会議がそのキックオフイベントとなりました。会議はインドネシアから約25名、日本から約30名程度のデザイナー、建築家、ライター、学生などの参加者が集められ、フィールドワークと講義を3日間にわたって行いました。

1日目

フィールドワーク

チームに分かれ、阿東地区の江戸時代の地図を片手に徒歩や自転車でフィールドワークを行いました。風景が成り立っている素材を見つけ、なぜそうなっているのかの仮説を立ててカードに書き込んでいきました。全チームのカードを分類していくことで、阿東地区の特性、人の暮らしを理解しました。

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2日目

朝ごはんは、インドネシア料理。ご飯と春雨とササミの上にスパイシーなスープをかけて食べる物。これが絶品!朝ごはんの様子はこんな感じ。

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講義は、主にインドネシアの方々が実践されているビレッジデザインの取り組みを紹介してもらいました。印象的だった講義をいくつか紹介。

Lecture:「インドネシアの村に伝わる子供のためのゲームと玩具」

伝統的な遊びについての研究をしているザイニ・アリフさんは、伝統的な遊びを子供達に伝承していくことで、コミュニケーションを活性化させる取り組みをしています。遊びが子供達の学びを促しているという考え方をしていて、レッジョ・エミリアの取り組みとも共通点を感じました。

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Lecture:「伝統的な自給自足サスティナブル・コミュニティ」

エギ・ヘグリアナさんは、村で地域循環型農業を行っています。農業を効率化するテクノロジーはどんどん取り入れていきながら、作ったお米は村の外に売らずに村の中で消費していきます。その地域の農業の方法や考え方などをドキュメンタリーとして伝えていくTV番組を村のテレビ局が作っており、それを通して他の地域への発信を行っています。地域循環型農業を行っている地域を拡大していくのではなく、ノウハウを共有して、その中規模のコミュニティーが繋がっている状態を作る。単に伝統的な自給自足をしていこうというのではなく、うまくテクノロジーを取り入れながら、新しい形の循環を作ろうとしている取り組みが先進的だと感じました。

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Lecture:「パサール・パプリガン(竹林市場)の形成:昔ながらの市がバンブーの森を守る」

フランシスカ・カリスタさんは、「パサール・パプリガン(竹林市場)」を運営しています。「パサール・パプリガン(竹林市場)」は毎週日曜日に竹林で開かれる市場で、クリエイターの作ったカゴや、その地域で作られたお米が売られていたり、ワークショップが行われていたりします。元々は荒廃していた竹林に人の手を入れることで、快適なコミュニティーの場に作り変えています。

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※画像出典:Pasar Papringan Facebook Page

それぞれのビレッジデザインのプロジェクトで共通していたのは、プロジェクトの規模を拡大していくのではなく、地域で循環ができる規模に留め、モノではなくノウハウを共有していくことで中規模の地域コミュニティーをゆるやかに繋げていくという考え方。こちらのスライドは、Spedagiのマーケティングディレクターの方のスライドですが、今進行しているヴィレッジデザインの根底には、「Pre-INDUSTRY: Small, Local, Close, Isolated」→「Post-INDUSTRY: Small, Local, Open, Connected」という変化があるのだろうと感じました。
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阿東市で展開する難しさ

色々な海外事例を学ぶのは良いのですが、今回感じたのはインドネシアでの取り組みが、日本の地域でそのまま横展開できる訳ではないということ。実際、カンダンガン村と阿東市では、抱えている課題が全く違います。例えばカンダンガン村は家が足りていないけれど、阿東市は空き家が多い。カンダンガン村は子供の人口が多いが、阿東市は圧倒的に高齢者の人口が多い。カンダンガン村は、「そこで育った子供にどうやって村にいついてもらうか?」という問いになるのに対して、阿東市は「どうやって村に人を呼び込むか?」という問いになる。やはり色々な状況が違うので、横展開するときは地道にその地域の現状の課題を洗い出して、プロジェクトをチューニングしていく必要があるのだろうなと感じました。

何はともあれ、色々学びのあるかなり濃ゆい出会いのたくさんあった3日間でした。どこかで時間をとって、インドネシアの村にも遊びにいこうと思います。